第88回全国高校サッカー選手権静岡県大会(県サッカー協会、県高体連、静岡新聞社など主催)最終日は6日、エコパスタジアムで決勝を行い、藤枝明誠が清水商を2―0で退け、初優勝した。初の選手権県代表の座を目指す藤枝明誠は、中盤の攻防で優位に立ち、身上のサイド攻撃を繰り広げて圧倒。前半34分に安東のパスを鈴木周が決めて先手を取り、後半開始早々、八木―原口のコンビで2点目をもぎ取ると、清水商に反撃を許さず、そのまま押し切った。夏の総体に続き、全国行きを狙った清水商は最後まで攻撃の形をつくれず、涙をのんだ。試合後、表彰選手の発表があり、MVPには藤枝明誠の小川哲生主将が選ばれた。藤枝明誠は全国選手権1回戦で徳島商(徳島)と対戦する。
▽決勝
藤枝明誠 2(1―0 1―0)0 清水商
【評】藤枝明誠の快勝だった。前半途中までは押し込みながらもロングパスに頼り、単調な攻めが目立ったが、徐々にペースをつかんで主導権を握った。34分、前線で体を張った安東のパスを鈴木周が鮮やかにけり込んで先制した。
後半開始直後、八木の左折り返しに原口が合わせて、貴重な2点目を加えた。その後も中盤を完全に抑えて、盛んにサイドに展開。追加点こそ奪えなかったが、攻勢を続けて押し切った。
清水商は明誠の鋭い出足に圧倒されて、終始受け身に回った。サイド攻撃も封じられて決定機をつかめず、反撃できなかった。
安東が存在感
○…藤枝明誠はFW安東の献身的なプレーが光った。右ひざが万全ではなく運動量は少なかったが、前線で体を張ってサイド攻撃の起点になった。前半34分には、相手DFを背負いながらも前線に巧みなループパスを出して、MF鈴木周の先制点を演出した。
後半ロスタイムに右足首を痛め交代したが、シュートは5本。相手の清水商の大滝監督に「うちのFWと安東との差が出た」と言わせるほどの存在感を示した。
これまで全国出場経験がなかったこともあり「うちは優秀な選手が集まるわけではない」と田村監督は言う。組織プレーと選手育成で力をつけてきたが、その代表格が安東だ。クラブではなく、県大会出場経験のない中学校の部活動出身。「高校3年でやっと初タイトルが取れた。全国でも最高の思い出を作りたい」。エースFWに成長した安東が力を込めた。
シュート16本攻めの姿勢貫く
最後まで攻めの姿勢を貫いて、ついに伝統校の壁を打ち破った。藤枝明誠が全国優勝3回の清水商を圧倒して、初の頂点に立った。
鋭い出足とサイドの攻防で上回った。清水商の中盤を下げさせて、主導権を握った。前半34分、FW安東のポストプレーに走り込んだMF鈴木周が右足ダイレクトでゴールに突き刺した。
常葉橘との準決勝では前半に2点リードしたものの、後半は消極的になって防戦一方になった。「準決勝の反省から、受けに回ってはいけないと言った。自分たちが日ごろから練習してきたものを貫くことが決勝のテーマだった」と田村監督は話す。後半立ち上がりに、MF原口が追加点を奪ったが、それでも守ることはしない。「弱い者が強い者を倒すには、守るのではなく攻め続ける」が指揮官のモットー。相手の倍以上の16本のシュートを放って新人戦、県総体で敗れていた清水商に雪辱した。「悔しい思いを晴らせた」とMVPに選ばれた主将のMF小川は話した。
1983年創部。公立中学校の教員だった田村氏が監督就任した96年から本格的に強化に取り組んできた。だが、県大会ではシードになりながらも1次トーナメントで敗退するという苦しい時期もあった。今年は全日本ユースに初出場し8強と経験も積み、県大会制覇へと結実した。「全国でも明誠らしさを出せば負けない。静岡の代表として国立を目指す」と先制点を挙げた鈴木周は初の大舞台にベスト4以上の活躍を誓った。
清商、防戦一方 兄弟ライン寸断される
○…「完敗だった」。大滝監督のこの一言が、清水商の戦いぶりを的確に言い表していた。
前半開始と同時にいきなり左サイドを破られ、ピンチを招いた。勝敗の鍵を握るはずの中盤で競り負け、ことごとくボールを奪われて、防戦に追われる場面が続いた。それでも浜名、新井のセンターバックを軸にゴール前中央で壁をつくって、相手の攻めに対応した。
だが、サイドから揺さぶられて34分と後半開始直後にゴールを割られた。中でも痛かったのは2点目で、反撃に出ようとした後半の出鼻をくじかれた。リードを広げた明誠の攻撃は一段と加速、さらに分厚い攻めを展開した。
これまで威力を発揮してきた風間希―風間矢の兄弟ラインが完全に寸断された。特に、風間矢は激しいマークを受けて動きを封じられ、「シュートチャンスはあったのに」と唇をかんだ。
9年ぶりの冬の全国行きを目前にしながら、主導権を奪い返せず、敗退した。主将の風間希は「落ち着いて戦えなかった」と振り返り、「落ち着かせなければならないのに。リーダーとして甘かった」と無念さをにじませた。