Jリーグ1部(J1)第28節第1日(4日・味の素スタジアムほか=6試合)は、清水が今季チーム最多の5点を挙げ、5―1でFC東京に完勝した。
(2)味スタ(清水2勝)
清水 11勝7分け10敗(40) 5(3―0 2―1)1 F東京 13勝6分け9敗(45)
▽得点者【清】山本真(1)岩下(2)原(4)岡崎(8)戸田(1)【F】エメルソン(3)
▽観衆 30410人
【評】清水は岡崎、原の2トップの活躍などで大量5点を挙げ、FC東京に大勝した。
序盤は好機を生み出せない清水だったが、前半20分、山本真の強烈なミドルシュートで先制すると、主導権を握った。リズムよくボールが回り出してFC東京を攻め立て、39分、兵働の右CKを岩下が押し込んで2点目。44分には枝村のパスを受けた原が巧みに反転してシュートを放ち、3点目を挙げた。
後半はFC東京に押し込まれる展開となり、14分に得点を許した。しかし、DF陣が集中を切らさずに追撃をしのぐと、33分、原のパスを持ち込んだ岡崎がダメ押しの4点目。終了間際には交代出場の戸田が5点目を突き刺した。
「原のため」チーム一丸 原、亡き母にささげるゴール
原のために―。チーム一丸となってつかんだ勝利だった。先月29日に最愛の母裕子さん=享年52歳=をがんで失った悲しみを胸に、原はピッチを駆けていた。イレブンにその心中が伝わらないはずがなかった。大量5点を奪って5連勝中の好調FC東京を撃破。勝利を天にささげた。
原は並々ならぬ思いを抱いてピッチにいた。「たくさんの人にお世話になり、心配してくれた。そういう人たちのためにも、母のためにも、応えるのはピッチ」。前半44分、その気持ちを最高の形で表現した。ゴール前で枝村のパスを受けると、巧みなルーレットターンで前を向いた。こん身のシュートはGKの手をはじき、転々とゴールマウスに吸い込まれた。
言葉にならない雄たけびを上げ、イレブンの祝福を浴びた。高々と右腕を突き上げ、人さし指で天国の母を示した。「無我夢中だった。あんなトラップ、シュートはしたことがない。サポーターや仲間、母が力をくれた」
高校、大学時代から常に試合を見に来てくれた母だった。体調が良いと、今季も必ずスタンドに駆け付けてくれていた。11月1日のナビスコ杯決勝も、応援に行きたいと楽しみにしていたという。「ゴールを母にささげたい」。その言葉には、うかがい知れない思いが詰まっていた。
強烈なリーグ初得点を突き刺した山本真は「一樹さんのために、という気持ちはみんな持っていた。こういう形で勝てて良かった」。CKから得点を挙げ、攻守に光った岩下も「全員が気持ちを出し、一つになって戦えた」と思いは同じだった。勝利以上に掛け替えのない固い結束を、チームは手にした。
戸田、移籍後初ゴール
○…FW戸田が古巣相手に移籍後初ゴールを挙げ、自らのリーグ通算150試合のメモリアルに花を添えた。4―1で迎えた後半36分、原に代わってピッチに立つと、試合終了間際、岡崎の折り返しにダイレクトで右足を振り抜き、鮮やかにネットを揺らした。「オカがいいボールを落としてくれた。自分の中でターニングポイントになるかと思う」と喜びをにじませた。
清水に移籍直後の昨季のキャンプで左足腓(ひ)骨骨折の大けが。ようやく夏に復帰したが、コンバートされた右サイドバックで主力を担うには至らず、今季も出場は5試合。この試合も6試合ぶりに回ってきたチャンスだった。
待望のゴールには古巣のサポーターからも惜しみない拍手が送られ、「これまでの150試合のほとんどはFC東京。温かい拍手ですごくうれしい」と感激。「自分にできる仕事を見つけ、しっかりこなせるように続けていくだけ」と気持ちを新たにした。